都市開発による日本経済への影響を徹底解明!3つの硬直化する原因とは?

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都市開発がもたらす日本経済への影響とは?

 

都市開発

 

日本経済にとって、都市部の存在は非常に重要です。

 

一極集中と言われている東京都はもちろん、その他の都道府県を見ても、都市部と呼ばれる地域に企業の本社や本店が集中している現状があります。

 

こうした状況の中で重要になってくるのが都市開発です。

 

経済の中心が都市部である以上、その場所をどのように開発するかで日本経済全体の様相も随分と変わったものになるでしょう。

 

 

都市とは何か

都市開発のことに触れる前に、まずは都市とはそもそも何なのかということに言及しておきます。

 

都市というのは様々な定義の存在する言葉ですが、統計的には「一定以上の人口が集積している人口が稠密であるところ」と定義されています。

 

また性質的な面では都市というのは、「都=賑わい」と「市=交易」という2つの場所であると考えられています。

 

賑わいというのは人が多く集まっていることを表し、交易というのはそこで財貨やサービスの販売・購入が行われていることを表しています。

 

さてそこで気になるのが、こうした定義に当てはまる日本の都市がどこなのかという問題です。

 

人口150万人以上ということに限って挙げると、横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・福岡市・神戸市・川崎市が都市(または大都市)という言葉に該当する地域ということになります。

 

ちなみに、東京都は全体で見れば日本で一番人口の多い都道府県ですが、各区別で見ると150万人を超える地域は存在しないため、ここには挙げませんでした。

 

 

日本の都市開発

我が国においては、歴史上何度も都市開発が行われてきました。

 

分かりやすいところで言えば、関東大震災からの復興の時期に行われたもの、太平洋戦争の敗戦後に行われたものなどがあります。

 

これらの時期、あるいはそれ以前に行われた都市開発に共通しているのは、大胆で且つ柔軟な事業を行うことができたという点です。

 

当時は都市開発を行うに際して、それを縛る法律が少なかった(分野によっては全く無かった)ため、自由度の高い開発を行うことができたのです。

 

ところが、この様な過去の歴史を踏まえて現状を顧みると、それはまさに硬直化しているとしか言えません

 

特に、80年代後半のバブルの時期から現在にかけての都市開発の状況を見ると、そうした傾向が顕著に見て取れます。

 

これには、大きく分けて3つの原因があります。

 

1つ目は、地権者と居住者の思惑の違いです。

 

まず、地権者としては所有している土地をいざという時に高く売りたいために、規制の緩和ないし撤廃を望みます。しかし居住者は反対に、そこに住んでいる現状を維持するために、規制の維持または強化を望みます。

 

そして2つ目は、都市開発の当事者が意見をすり合わせる場所がないという問題です。

 

都市開発には、大まかに言って行政、民間の事業者、地権者、居住者という4者が直接的に係ることになるわけですが、こうした当事者たちがお互いに意見を出し合ってすり合わせを行うという場が設けられていないのです。

 

最後の3つ目は、マスタープランの無いという問題です。

 

都市開発を行うためには、それが計画的なものである以上は、必ずマスタープランが必要になります。しかし、現状はマスタープランと呼べるものを持っている自治体は存在しません(例外もある)。
また、一部にはマスタープランを策定したいと持っていても、2つ目の原因によって妨げられているという自治体もあります。

 

以上の3つの原因が複雑に絡まり合って、日本の都市開発が硬直化してしまっているのです。

 

 

都市開発による日本経済への影響

こうした硬直化した日本の都市開発は、その後若干の修正を施されることになります。

 

用途別容積型地区計画制度などの特例的な緩和制度が創設されたことで、そまでよりもいくらか自由度の高い都市開発が行われるようになったのです。

 

こうした制度を利用して行われた都市開発の最たる例は、恵比寿ガーデンプレイスを始めとしたいわゆる「モダンでファッショナブルな再開発都市」です。

 

しかし、これらの都市開発は計画通りに実現することにはなりましたが、特例的な緩和制度を用いたために大きな問題を現出させてしまいました

 

街の改善が事前に決めた開発地域のみに止まり、その周りの地域は旧態依然とした街並みをそっくりそのまま残すことになってしまったのです。

 

要するに、特例的な緩和制度を用いたために、そうした制度が及ばない地域では全く開発が行われなかったのです。

 

もちろん、開発による経済効果も一部の地域に止まることになってしまいました。
そして問題なのは、この様ないびつな都市開発は現在に至るまで続けられているということです。

 

上記の3つの原因と特例的な緩和制度を用いた都市開発によって、開発地域も経済波及効果も極めて限定的な事業が今日においても繰り返されているのです。

 

本来であれば、都市開発というのはマスタープランに基づいて広大な区域を対象にして行われるものですから、当然ながらその経済波及効果は日本全体に及ぶはずですが、この様な現状があるために局所的なものに止まってしまっているわけです。