2000年~2018年までの業種別景気の推移
日本の経済は、バブル崩壊の数年後からほぼ一貫して衰退してきています。
この時期の経済は「失われた20年」と呼ばれ、高度経済成長から始まった日本の経済成長も数字上は頭打ちになってしまいました。
しかし、そうした状況の中でも業種毎に見れば衰退している分野もあれば、逆に成長している分野もあります。
そこでこのページでは、2000年~2018年までの期間の業種別の景気の推移を見ていきたいと思います。
2000年以降の日本経済
90年代のバブル崩壊の後に消費税増税が行われ、デフレの真っ只中で迎えたのが日本の2000年代です。
2000年代の経済は大まかに言ってしまえば、デフレ脱却を目指しながらも実現できなかった時期ということになります。
2002年から2008年にかけては「いざなみ景気」と呼ばれる緩やかな景気回復の時期がありましたが、これも結局は賃金や物価の継続的な上昇にはつながりませんでした。
そしてその後に起こったのは、皆さんもご存じの「リーマンショック」です。
これにより、日本経済は大きな打撃を受け、各種の指標も大きな悪化を示しました。
そして、2010年代に入ってからは自民党から民主党への政権交代でデフレ脱却に期待が膨らみました。
ところが、ふたを開けてみると民主党政権でも一向に景気回復は実現せず、それどころか東日本大震災と歴史的な円高の影響でより深刻なデフレ状況へと陥ってしまいました。
こうした政権が長続きするはずもなく、民主党政権は再び自民党に政権を譲り渡すことになりました。
自民党が再び政権を握ってからは、記憶に新しい「アベノミクス」という経済政策が打ち出されました。
安倍政権はこの政策によってデフレ脱却を目指すと宣言していましたが、長期政権となった現在でもこの目標は達成されていません。
2000年以降、景気の良かった業種
2000年以降の日本経済は全体的に見ればほぼ不況一色ですが、中には景気の良かった業種もあります。ここで、そうした業種をいくつか挙げてみたいと思います。
駐車場業界
駐車場業界は自動車業界がさほど好調でないにもかかわらず、約20年の間にほぼ一貫して好調を維持してきました。特に、2012年に再び自民党政権が誕生してからは好景気が続いています。
これには、日経平均株価の上昇や円高の是正、雇用状況の改善などが影響していると考えられます。また、都市部を中心に不動産市場が活発化していることも要因の一つとなっています。
医療機器業界
医療の分野には様々な業種が存在しますが、その中で医療機器業界はかなりの好景気を続けてきました。特に目立つのがリーマンショックが起きた後の医療機器業界の業績の動きです。
他の業種がほぼ一様に業績を悪化させた中で、医療機器業界は不況の波にのまれることなく好調を維持したのです。
これには、この業界が元々景気の影響を受けにくいこと、そして高齢化が進んでいることが影響していると考えられます。
介護業界
最近何かと注目されることの多い介護業界も、この20年間好況に恵まれてきました。
この背景には、医療機器業界と同様に高齢化の影響があると考えられています。
さらにこれに加えて、団塊の世代が後期高齢者となったことも介護業界の拡大に影響を与えています。
また、介護を行う肉親が減ってプロに任せるようになったという、全体的な動きも関係していると言われています。
その他、好況に沸いた業界
以上の3業種の他にも、ドラッグストア業界、インターネット業界、ネット広告業界などが2000年代以降好況に恵まれています。
2000年代以降、景気の悪かった業種
次に、2000年代以降の日本経済の中で景気の悪かった業種を紹介しましょう。
印刷業界
出版不況と言われて久しいですが、最もその影響を受けているのが印刷業界です。
2000年~2002年までの間は多少の成長を見せていましたが、それ以降は不況に転じてしまいました。これには、インターネットの一般化や電子書籍の普及などが影響していると考えられています。
消費者金融業界
過去20年の間に最も劇的な落ち込みを見せた業界と言っても過言でないのが、消費者金融業界です。
2006年までは、かろうじてほぼ横ばいの状態を続けていましたが、この年の12月に施行された貸金業規制法がこの状況を一変させました。
この法律によってグレーゾーン金利が撤廃されたことで、消費者金融業界は急激に不況に落ち込むことになりました。
2013年には下げ止まりを見せ、その後は僅かながら回復してきていますが、以前の水準には程遠い状態が続いています。